初出誌 | EQ 1997年5月号 |
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著者のつぶやき
だめって言われると、したくなること、ないですか? 見ちゃダメと言われると見たくなるし、開けちゃダメと言われたら開けずにいられない。
小説の世界にも、やってはいけないとされることがあります。もちろん、〈なぜそれをしてはいけないか〉にはきちんとした理由があります。主に、その理由は、それをやったらつまらなくなってしまうから、というものです。つまり、読者の楽しみを保証するための〈やってはいけないこと〉なのです。
ただ、僕のようなひねくれた小説家にしてみると、ダメって言われたことを、ついやってみたくなるんです。「それって、ほんとにつまらなくなっちゃうんだろうか。面白くなる方法が、どこかにあるんじゃなかろうか」
1970年のクリスマスに20歳だった主人公4人が、2000年の50歳のクリスマスになるまでの物語です。やってはいけないことをやっていますが、やはりダメだったでしょうか?